こばし鍼灸(掃骨)院 | 日記 | 《仮置き》然る鍼灸学会に物申す/高度再生医療と鍼灸の使命考

キズを以って傷を制す。線維芽細胞たちの再性能を最大限に活かす《鍼は世界で最も小さな外科処置》

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こばし鍼灸(掃骨)院 の日記

《仮置き》然る鍼灸学会に物申す/高度再生医療と鍼灸の使命考

2019.03.01

 (しんコパコラム55.《生理学》iPS細胞:高度再生医療/線維芽細胞:鍼灸と再生医療) 今年は然る大きな学会が、東京で催されました。

 iPS細胞に関する最先端医療の発表があり、ワクワクしましたが、時間の都合と言う事もあって、フロアに向けての質疑応答は為されませんでした。  残念がる私に、見るに見かねたのでしょうか大会関係者のお一人が大会主催者宛に投稿を勧めて下さいました。
けれど取るに足りぬと判断されたのでしょうか、「受け付けました」のお返事以外はなしのつぶて。 市井の一角で鳴かず飛ばずのオババですが、是か非かの意見も頂けないことは情けないものです。 記録を無くさないうちに、ここにメモさせて頂きま~す。
  投稿の主旨~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 「最先端医療iPS細胞と鍼灸の立ち位置」考 医・工・薬の粋を極めた(超)高度再生iPS細胞。その細胞を活かすも殺すも、母体となる生体の環境次第だと聞いています。 皮膚から骨膜までを埋め尽くす軟部結合組織――そのFasciaには “素朴な”形の線維芽細胞たちが存在していて、彼らの働きが潤沢に行かないが故に一般的な生体の不具合が生じると考えます。
 そこに直に働き掛けることが出来るのが他ならぬ鍼灸で、これも立派な組織の再生医療と言えましょう。
 ならば、パネラーの先生方には「iPS細胞シートを育てるための、お身体の養生はお任せ下さい」と言って頂きたかった。

そう考える裏付けとして~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 2013年のこと、田畑泰彦先生*の『自然治癒力と再生医療』という講演を聴く機会がありました。当時は余りにも先端過ぎて目玉白黒の状態でしたが、その時に頂いた10ページ程の資料の中で、とりわけこの部分はしっかりと理解できました。  以下抜粋します~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・生体は、基本的に2つのものからなっている。
・それは細胞とその周辺環境である。
周辺環境のイメージを理解しやすくするために細胞をヒトにたとえてみる。
・いかに丈夫なヒトでも、家や食べ物がなければ弱ってしまう。
これは細胞においても同様である。いかに能力のある細胞でも、家や食べ物が不足すれば、本来の能力を発揮することは極めて難しい。
・細胞の家に当たるものは、細胞の周辺を埋めている細胞外マトリックスである。食べ物にあたるものが細胞増殖因子などである。
・細胞が元気な場合には、細胞は細胞外マトリックスも細胞増殖因子も自分で作る。
・しかしながら、病気や生体組織に損傷があるときには細胞は弱っていて、それらの成分を作る能力が低下している。
・そこで、いかに元気な細胞を準備しても、それのみを体内に移植するだけでは、病気の体では細胞周辺環境が整っておらず、細胞力による再生治療効果は必ずしも期待できない。
・そこで、細胞力を高めるためには、細胞に周辺環境を作り与えることが必要不可欠となる。

つまり、高度再生医療 DDS(ドラッグ デリバリー システム)とは
1)必要な細胞を育て(←iPSは試験管の中では非常に能力の高い細胞だそうです)
2)育った細胞を生かせる生体の構築をして(←これは日々各自で責任を負うべき)
3)局所に、最適のタイミングで投与する。
ことだそうです。
 
 田畑先生の90分におよぶ熱弁で、私は船酔い状態でしたが、次のまとめで胸の閊えが下りました。
 それは、「再生医療とは、細胞の持つ自然治癒力を高めて病気を治す治療法で、細胞の“元気度”がモノを言う。」というものです。
 線維芽細胞の特異性を考えるとき、鍼灸の優位性を是非皆様と共に考え、共有したいと考える所以です。どうぞ、年寄りの冷や水と捨て置かれませんように。
     平成29年○月○日      こばし鍼灸院  小橋正枝        
-------------------------------------------------------------- *田畑 泰彦:京都大学再生医科学研究所 生体組織工学研究部門 生体材料学分野 教授

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