こばし鍼灸(掃骨)院 の日記
-
27.【牛乳は骨粗鬆症の予防にならない】
2012.07.13
-
確認しておきましょう
【牛乳は骨粗鬆症の予防にならない】 ということ。
老化が進むと、骨のカルシウム分(「骨量」という)が減って、
「骨粗鬆症」になる。
骨を支える骨質が薄くなり、スカスカになるのだ。
骨粗鬆症は男性より女性のほうがなりやすい。女性はもともと
骨量が少ない上に、閉経でホルモンバランスが変化するからだ。
女性ホルモンのエストロゲンには、骨芽細胞の働きを活発化
させる働きがあり、閉経後に急にエストロゲンが減少すると、
それまで維持していた骨量が保てなくなる。
ほかに骨粗鬆症の原因には、以下のようなものがある。
・ カルシウムの摂取不足。
・ ビタミンD不足(カルシウムの吸収には、ビタミンDが必要)。
・ 日光浴不足(ビタミンDの活性化には紫外線が必要)。
・ 運動不足(身体を動かすことによって骨の形成が刺激される)。
・ 喫煙(ニコチンが骨芽細胞の働きを抑制する。胃腸を弱め、
カルシウムの吸収も減る)。
・ その他(遺伝的な体質、ステロイドの使いすぎなど)。
牛乳にはカルシウムが多く含まれるので、骨粗鬆症の予防に
なると考えている人も多いが、これはまちがっている。
アメリカで行われた大規模調査で、高齢者の場合、牛乳を多く
飲む人のほうが男女とも股関節の骨折が多いという結果が出た。
そのためアメリカでは1998年から牛乳で骨粗鬆症の予防をと
いうコマーシャルが行われなくなり、日本でも2003年から牛乳の
宣伝から骨粗鬆症の予防が消えたようだ。しかし、そのことは
あまり知られていない。牛乳にはよい面はあるが、誤った効用が
そのままにされているのは問題だろう。
牛乳を多くとると、骨折しやすくなる理由は、牛乳を飲んで血液中
のカルシウム濃度が急激に上がると、逆に排泄が進みすぎ、それを
補うために、骨のカルシウムが溶けて血液に流れ込むからである。
カルシウムは心臓や脳、筋肉の活動に重要な働きをするため、
身体が一定の濃度に保とうとして、過剰反応が起きてしまうらしい。
カルシウムが多いと腎臓結石などができやすいという俗説もある
が、これも逆で、結石はカルシウム不足の人のほうができやすい。
慢性にカルシウム不足が続くと、副甲状腺ホルモンが分泌され続け、
骨から血液に過剰にカルシウムが供給されて、濃度が上がるためで
ある。これを「カルシウム・パラドックス」(カルシウムの逆説)といい、
最近、注目されている。
同様の理由で、カルシウムをサプリメントなどでとることも勧め
られない。
カルシウムが足りないと、子どもはキレやすくなるとか、高齢者は
骨粗鬆症になるとかよく言われるが、カルシウムのとりすぎは
高カルシウム血症となり、血管、脳、膵臓などにカルシウム沈着が
起こって、動脈硬化、認知症、糖尿病の原因になる。
望ましいカルシウムの摂取は、野菜や小魚から継続して適量を
とることである。すなわち、バランスのとれたふつうの食事が一番
ということ。
⇒「少しでも健康に」とか、「アンチエイジング」とかいう欲を出すと、
武器を売る死の商人ならぬ“健康商人”につけこまれて、かえって
健康を損ねる。
久坂部羊(医師・作家) 世界一おもしろい「医学概論」より
≪皮膚・骨・筋系―体を動かしている部品たち≫
http://g2.kodansha.co.jp/279/280/16071/16072.html
G2_kodansha web